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レビュー:中国人の日本語学習動機

 
review 
 
土曜の晩になりました。
ちょっと、疲れてきたので、気分転換に、
久々、論文のレビューです。


【本日の論文】

郭俊海・全京姫(2006)
中国人大学生の日本語学習の動機づけについて
  Journal of the International exchange Support Center 2
   pp,118-128 20060300 新潟大学
   ※論文はこちらからDLできますCiNii

抄録
The present study investigated the motivational factors of Chinese students who are learning Japanese language at Harbin University of Science and Technology in China. 200 students answered the motivation questionnaire that consists of 38 reasons for learning Japanese. Their final examination grades were used as a determiner of their Japanese proficiency. Factor analysis and stepwise regression were performed. Six motivational factors were extracted: "Study in Japan", "Interest in language learning", "Job orientation", "Self-esteem", "Japanese popular culture", and "Knowing about Japan." The stepwise analysis revealed that the "Job orientation" was the best predictor of their language achievement. Although this finding is not consistent with those of previous studies, the result reflects Chinese students' social-cultural background. It suggested that to further facilitate students' Japanese language learning, it is necessary to raise cultural exchange between China and Japan.


本論文では、中国日本語を学ぶ学習者の動機づけと、
動機づけ日本語学習に及ぼす影響について、
考察するといった内容です。

郭らは、これまで、言語学習の動機づけ研究から、

  動機づけと目標言語に対する態度が第二言語学習の
  努力に注ぐ大きさを決定すること(Ellis, 1997)

  動機づけは、学校での学習が終了した後、
  その言語能力の維持にも繋がる(Gardner他, 1985)

など、いくつかその重要性を指摘しながらも、
伝統的に行われてきた研究は、
アメリカやカナダの社会背景を元にしているため、
各地域のケーススタディが必要であると述べています。

では、日本語学習を外国語として学ぶ学習者について、
これまでどのような研究が行われてきたのでしょうか。
本論文では、以下を含めたいくつかの先行研究をあげています。

たとえば、縫部他(1995)では、
ニュージーランドの大学生を対象に調査した結果、
訪日経験のある学習者の方が、統合的動機づけが高いこと、
学習期間が長い方が、道具的動機づけが高いこと、
を明らかにし、また第3の動機づけとして、
周囲に言われたから始めた、などの、
誘発的動機をあげています。

また、郭・大北(2001)では、
シンガポールの大学生を対象に調査し、
学習成績に影響を及ぼす要因として、
統合的道具的動機づけの他に、
エリート主義を認めています。

しかし、日本語学習者の動機づけ研究は、
まだまだ少なく、中国を対象としたものはないため、
本論文では、中国語学習者を対象に調査を行った、
というものです。

ちなみに。

統合的動機づけとは(ちょっと乱暴な説明ですが)、
目標言語を話す集団の文化を知りたい、
または精神的に溶け込みたいなどの動機のことです。
コミュニケーションを志向したり、
その文化を理解したいなどが例としてあげられます。

道具的動機づけとは、ある目標を達成する手段として、
その目標言語の学習を行う動機です。
例えば、仕事を得るため、試験に合格したい、
というものがそれにあたります。

ということで、論文に戻ります。

この調査の対象は、中国の大学生250人で、
回答が得られたのは、男性55人、女性145人の計200人です。
この200人の回答を分析対象にしています。

調査は、動機づけについて質問紙を使用していますが、
まず、予備調査で、日本語を学習する理由について、
自由記述をしてもらい、それを先行研究に基づき、
質問紙を中国語で作成しました。
回答は、大反対=1~大賛成=7の7件法で、
2005年10月の第2学期に行っています。
また、学習者の学習到達を測るために、
学期末試験の成績を使用しています。

質問紙は、計38項目からなり、
これらについて、因子分析を行いました。
その結果、以下の6つの因子が抽出されました。

 第1因子 日本留学志向因子
 第2因子 語学学習志向因子
 第3因子 仕事因子
 第4因子 自己尊重因子
 第5因子 日本大衆文化因子
 第6因子 日本理解因子

第1因子の日本留学志向因子は、
「家族にすすめられた」「友達がいるから」
「日本に留学したときに便利だ」など、
日本や日本文化及び留学に興味を持つような内容です。

第2因子の語学学習志向因子は、
「言語の勉強に興味がある」
「日本語は日常生活で役に立つ」
「日本語はきれいだ」など、
外国語や日本語の学習に興味を示す内容となっています。

第3因子の仕事因子は、
「日・中間交流の仕事をしたい」
「外国人と接する機会が増える」
「外資系企業に就職したい」など、
仕事、特に外国との文化交流の仕事に関するものです。

第4因子の自己尊重因子は、
「自分自身の視野を広める」
「自分自身の競争力を高める」
「新しい知識を身につける」など、
自己尊重に関するものが主な内容になっています。

第5因子の日本大衆文化因子は、
「日本のテレビやドラマが好きだ」
「日本語に興味がある」
「日本のマンガやテレビドラマに興味がある」など、
日本のポピュラーカルチャーに関するものが主たる内容です。

第6因子の日本理解因子は、
「日本の企業管理の技術や日本人の民族精神を学ぶ」
「日本の先進的な科学技術に興味がある」
「日本人の生活習慣が知りたい」など、
日本や日本人についての内容となっています。

郭らは、それぞれの因子に上記のようなカテゴリ名をつけ、
これらの因子が、学習成績に与える影響を調べました。
学習成績は、先ほど書いたように、
学期末試験の結果を採用しています。
分析方法はステップワイズ回帰分析です。

その結果、上記6つの因子の中で、
「仕事因子」だけが予測因子として、
統計的に有意だという結果が出ました。
どういう意味かというと、本論文では、
「仕事因子」が日本語学習の成績に、
影響を及ぼすことになる、と説明されています。

これらの結果から、郭らは以下のような考察をしています。

まず、抽出された6つの因子を、先行研究から、
以下のような動機づけに分類しました。

統合的動機づけ】
 ・日本留学志向因子
 ・大衆文化因子
 ・日本理解因子

道具的動機づけ】
 ・仕事因子

【エリート主義】
 ・自己尊重因子
 ・語学学習志向因子

中国では、1977年に大学受験制度が回復されてから、
日本語が外国語受験科目のひとつとされ、
さらに、近年の中国経済の急成長によって、
英語や日本語などの外国語能力の高い人材の需要も、
高まっていると述べています。
実際、民間企業などで働く場合は、このような能力が、
評価や昇進の重要な条件の1つになっていることもあり、
このような社会状況で、「語学学習志向因子」や、
「自己尊重因子」は、エリート主義として位置付けられる、
と郭らは述べています。

もうひとつの分析で、学業成績との関係をみましたが、
そこでは、仕事因子のみが影響を与える、
という結果になりました。
これについても、中国における日本企業の進出状況や、
日本語の経済的価値を反映したものだと述べ、
日本語のできる人材の需要が大きくなっている、
と指摘しています。

先行研究との違いについては、
郭・大北らのシンガポールになかったが、
本調査で抽出された「日本留学志向因子」に触れ、
シンガポールの場合は、公用語が英語であり、
留学先も欧米が多いため、結果が異なったとまとめています。

このように、社会と密接な関係を持った動機づけですが、
では、統合的動機づけに分類されてた「日本留学志向因子」
「日本大衆文化因子」「日本理解因子」や、
エリート主義の「自己尊重因子」「語学学習志向因子」が、
なぜ、成績と統計的に有意な差が見られなかったのでしょうか。

この点について、郭らは、経済発展が進んではいるものの、
中国では貧富の差が非常に大きく、物価の高い日本への留学は、
多くの父母にとって、現実的なことではないと述べられています。
また、もう1つの理由として、中国各地の日本人社会や、
日本人との交流が少ないことをあげています。
教室を離れてしまうと、日本人や日本語と接する機会が少ないため、
テレビゲームやマンガなどの若者文化によって芽生えた興味が、
日本語の上達には結びついていないと、その問題を指摘しています。

郭らは、Gardner(1985)の引用を引き、
「目標言語社会との交流が語学学習には必要」だと述べ、
彼らのなかにせっかく芽生えた興味を持続させ、
日本語上達に結びつけるためには、中国の日本人社会や、
学生と同世代の日本人との交流の機会、接触の機会を、
教室内外に増やして行く必要がある、とまとめていました。

以上、ここまでが、本論文の内容です。

ここからは、私見。

郭らが述べているように、中国人学生の学習動機の中で、
「仕事因子」が成績に結びつくというのは、
体感的にも納得できるものです。

私が中国にいたときも、学習者は「将来の仕事のために」とか、
「日本の企業に入るために」とよく言っていました。
仕事をして、お金を稼ぎ、学費を親に返したい、
という学生が、結構多くいました。
現在は、私が滞在していた頃から、数年経ち、
経済状況が変わったので、仕事をする理由自体は、
親に返金したいという内容と変わったかもしれませんが、
先日、数名の中国人とメールをしたときにも、
今日本語を勉強しているのは、将来の仕事のためです、
という答えが返ってきたので、もしかすると、
現状はあまりかわっていないといえるのかもしれません。

ただ、勉強を始めたきっかけは、
必ずしも「仕事」ではありません。
本論文にもあったように、学習者の動機は様々なはずです。
日本語はきれいだと思う、漫画が好きだから始めた、
文学が好き、など、純粋な興味を持って始めたり、
今でも、「勉強としての日本語」以外の学習に、
興味がないわけではありません。
ただ、それらが、学校での「成績」には、
直接結びつかない、というだけです。

成績に結びつかないこのような動機は、
いったい、何に結びつくのでしょうか?
純粋な興味や楽しさに結びつく学習機会を、
学習者が見つけられなかったとき、
どうやってサポートしたらよいのでしょうか?

興味や関心は、人の心を動かしたり、
楽しい、面白い、嬉しいなどの情動は、
続けることへのエネルギーになるはずです。
そのときの「学習効果」とは何を示すのでしょうか?

「仕事のため」といったような大きな目標のしたにある、
彼らの行動を支える別の動機が気になります。

今後の中国の動機づけについて、
もっと多くの調査が行われるといいな~と思いつつ、
本日のレビューは、終了です。

では、また。


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気が利く女子。

 
school-commuting roads ver.2 

何歳までを、「女子(ジョシ)」
と呼んでいいのでしょうか?

素朴な疑問。

深澤真紀の平成女子図鑑
「気配り女子」と「気苦労女子」
  (日経ビジネスONLINE

深澤氏がこれまでに書いたコラムは、
「安室」と「あゆ」 、「百恵」と「聖子」
「マニア女子」と「腐女子」、
「賞味期限女子」と「女装女子」 、
のように、女子にまつわるシリーズである。

どうも、これを読んでいると、
あたしら世代(どこらへん?)も、
「女子」にカテゴライズされている、
という感がある。

もちろん、辞書的な意味でいえば、
女性も婦人も、「女子」になる。
しかし、「女の子」ということになれば、
完全に、自分はここから外れる。
けれど、「おなご」と読ませれば、
「オンナ・コドモ」、という括りにもなるため、
また該当してしまう。

まー、何歳まででも、いーんじゃないの?

って話なんだけど(笑)、
あたしは、自分を「女子」と言われると、
なんだか、小っ恥ずかしく感じる。

それはさておき。

今回のこのコラムでは、タイトルの通り、
気配り女子」と「気苦労女子」について、
深澤氏の考えが述べられている。

前者は、いつも気配りを意識している女性で、
後者は、年中、気苦労が絶えない女性

詳細は、上記のタイトルをクリックしてお読みいただきたが、
気配りが感じよくできる人というのは、ほとんど、
いい意味で『心を入れずに』やっている人」らしい。
そして、「心の入った気配りほど、面倒くさいもの」
と書かれている。

女性は「気配り」にいろいろ言葉をつけ、
たとえば、「友達に幸せになってほしいから」
「親を思う心を示したかったから」などと、
物語に乗せたがり、それが、話をややこしくするらしい。

で。

もう一方の「気苦労女子」については、
「よくも悪くも、想像力が豊かな人」と位置付け、
「失敗するんじゃないか」「損をしているんじゃないか?」
ということに対して強い恐怖心を抱えている、
と述べられている。
例としてあがっていたのは、

昨日買ったブラウスが今日はセールになっていた、
ということを、いつまでも後悔する、みたいな。

そして、気苦労女子が恐れているのは、
自分が「普通じゃない」「常識的じゃない」
と思われることらしい。
こういう女子は、自分のことを
「ものすごく気が利く」と思っているし、
「周りの人はなんであんなに気が利かないんだろう」
と思ったりするそうだ。

さーて。

女子のみなさん。
あなたは、気配り女子ですか?
それとも、気苦労女子ですか?

これは、あくまで、
「気が利く」と言われる女子を、
2つに大別しただけだと思うので、
必ずどちらかに当てはまるわけではないけれど、
まー、なんとなく、どっちっぽい、くらいは、
あるように思うのだけれど、どだろ?

ちなみに。

あたしは、ブラウスを買ったことを後悔はしないが、
もしかして、もう少ししたら安くなるかも?
と思って買わず、気がついたら、無くなっていた、
ってことがあるので、たぶん、気苦労女子になる、
と、自己判断。

でも、これを男子に当てはめると、
「気配り男子」も「気苦労男子」も、
女子より、しっくり感がない、
と思うのは、あたしだけだろうか。

何でも、男女を二分するのは賛成できないが、
ネズミに足枷をつけ、目の前にエサを置くと、
雌は、しばらく足枷を気にしたあと、エサを食べるが、
雄は、雌よりも長い時間足枷を気にしていて、
なかなかエサを食べない、という実験結果があった、
という話からも、雄と雌には動物的性差は、あるのかな?
とかは思うけど。

あ、コレは確か適応力の実験だったかな?
んー、不確かで申し訳ない(笑)。

さてさて。

気苦労女子群にカテゴライズされたあたしは、
その性分ゆえに、今宵も研究について、
唸り続けながらも、まずは、
わけっつわからん授業の課題を、
片付けてしまおうと思います。
良い週末を迎えるためにも、ここは一踏ん張り。

みなさんも、Have a good weekend~。


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レビュー:「知識共有コミュニティ」編

 
review 
 
今日は、自分に課したノルマをある程度達成したので、
早速、レビューに挑戦です。

【本日の論文】

三浦麻子・川浦康至(2008)
 人はなぜ知識共有コミュニティに参加するのか
  :質問行動と回答行動の分析
    社会心理学研究(23)3, pp.233-245
   ※論文はこちらからDLできますCiNii


抄録
Web-based knowledge-sharing communities, which are supported by countless voluntary Internet users, are in widespread use today. We explored a number of characteristics of interpersonal communication among participants based on their questioning and answering behaviors. A questionnaire survey on participants of Yahoo! Chiebukuro, one of the most popular knowledge-sharing communities in Japan, was conducted, and access data of their behavior in the community were collected. Based on 7,989 survey samples and access data, we found that there were several significant differences in their behavior and motivation based on their participation style, question content, and gender. Results also suggested that information was exchanged and accumulated actively in the community and interpersonal communication of community participants was developed by an aggressive need for information acquisition and subsequent social support.


本論文では、
インターネット上にある知識共有コミュニティである
「Yahoo!知恵袋」を対象に、

Q:知識共有コミュニティを支えるインターネット利用者は
  どのような人々なのか?
Q:彼らはなぜ知識共有コミュニティかかわるのか?

という疑問とともに、
そこに集積される「集合知」とは、いったい何か?
ということを読み解くための手がかりとして、
「質問」と「回答」という相互行為からなる
コミュニケーションのありようと、
その使用者のコミュニティへの参加動機を
明らかにすることを目的に調査されたもの。

【1.はじめに】

まず、知識共有コミュニティについて。
三浦ら(2008)では、この知識共有コミュニティを、
利用者のニーズによって2つに大別している。

 ①百科事典型コミュニティ
   …利用者の情報ニーズは顕在化されない
    例)ウィキペディア
 ②Q&A型コミュニティ
   …利用者の情報ニーズが「質問」という形で顕在化
    例)教えて!goo、人力検索サイトはてな、Yahoo!知恵袋
   
②に関しては、
「利用者が相互に教え合い、共有するための社会空間」
とし、質問者と回答者の対人相互作用が行われている、
と三浦らは説明している。

次に、Q&A型コミュニティでの「質問」の種類についても、
以下のように2つに分類している。

 ①正解が存在する(と少なくても質問者は考えている)質問
    サーチエンジン(オンライン資源)、
    図書館(オフライン資源)などの利用で
    解が得られる可能性が高い
   →正解発見に資する情報の獲得はできるが、
    正解がない情報は蓄積されにくい

 ②決まった解答がない(と少なくても質問者は考えている)質問
    問題解決型質問(相談や予測)
    情報獲得の手段が曖昧、
    限られた利用可能な人的資源、
    プライバシーの問題
   →友人などの知己には聞きにくい場合がある
   →匿名性の守られるオンライン・コミュニティでは
     疑問の解決に好適な場
   →正解ありなしの両方の質問が投稿され、
     事典的な知識と個人的な見解が得られる

更に、インターネット利用の性差の先行研究から、
Q&A型コミュニケーションにおいても性差が見られると予測し、
「質問」「回答」投稿時における利用者の意識と態度について、
実際の行動をコミュニティ内の行動ログデータと対応づけ、
性差を加えた分析を行っている。

以下、わかりやすくするために、レジュメふうに。

【2.方法】
概要
「Yahoo!知恵袋」の利用者に対し、Web上で質問紙調査
 ①質問投稿者向け質問紙(以下Q版)
 ②回答投稿者向け質問紙(以下A版)
   →利用記録(サーバー上のログデータ)と対応づけ

・調査対象コミュニティ
 「Yahoo!知恵袋」…YahooのIDを持っていれば、誰でも参加可能

質問紙調査
・調査期間と対象者
  期間:2005年12月6日~20日の15日間
  対象者:期間中にログインし、質問もしくは回答を投稿した利用者
  質問紙:Q版 5,562/28,588(依頼応答率19.5%)
       A版 2,513/15,402(依頼応答率16.3%)

主な質問項目
・Q・A版共通
 (1)基本属性(性別、年齢)
 (2)他の利用者に対するコミュニケーション欲求と実際経験
  選択肢:知恵袋を利用していて質問者や回答者と
  「連絡を取りたいと思って、実際にしたことがある」
  「連絡を取りたいと思ったが、やり方がわからずできなかった」
  「連絡を取りたいと思いやり方もわかっていたが実際はしなかった」
  「連絡を取りたいと思ったことはない」
 実際にしたことがある場合の利用メディア
  「Yahoo!メール」「Yahoo!メッセンジャー」「その他」

・Q版のみ
 (1)内容:択一選択
  「決まった答えや正解がある(と思う)質問」(正解あり)
  「決まった答えや正解はない(と思う)質問」(正解なし)
 (2)投稿動機:9項目、4件法
  オンライン・サポートの提供理由に関する質問項目(宮田, 2005)
  を参考に作成
 (3)「知恵袋」で質問を行った理由:4件法
  「信頼できる回答がもらえそうだから」
  「たくさん回答をもらえそうだから」
  「雰囲気のいいコミュニティだから」
 (4)投稿に先立って調べた方法
  オンライン資源…「Yahoo!サーチエンジン」「静的データベース」
            「百科事典型コミュニティ」「知恵袋の過去ログ」
            「知恵袋以外のQ&Aコミュニティ」「掲示版」
  オフライン資源…「人に聞いた」「書籍や新聞雑誌」

・A版のみ
 (1)対象となった質問の内容
  「決まった答えや正解がある(と思う)質問」(正解あり)
  「決まった答えや正解はない(と思う)質問」(正解なし)
 (2)投稿動機:13項目、4件法
  オンライン・サポートの提供理由に関する質問項目(宮田, 2005)
  を参考に作成
 (3)投稿に先立って調べた方法
  オンライン資源、オフライン資源=Q版と同じ

・調査協力者のコミュニティ参加状況(Yahoo!の協力を得て)
 (1)調査協力時点で投稿された質問/回答文
 (2)投稿時点までの質問/回答投稿数
 (3)投稿された質問の被回答数
 (4)知恵袋の利用登録日時
 (5)最初の質問/投稿日時

【3.結果】
基本分析
・分析対象…7,989件(Q版5,515件、A版2,474件)
      男性(%)   女性(%)    平均年齢
全体     50.3    49.7    31.4(SD=11.39)
Q版     48.3    51.7    30.1(SD=11.23)
A版     54.7    45.3    34.3(SD=15.55)

コミュニティの参加状況とスタイル
 ・調査者の調査協力時点までにおける質問投稿数、
  回答投稿数、質問に寄せられた回答数(以下、被回答数)
  による基礎統計量を算出→ばらつきが多い
 ・質問に対し回答が得られたかを検討
  →被回答数が質問投稿数より下回ったのは4.8%
   =回答が得られない質問はわずか(1件あたり3.6件の回答) 
   =知恵袋が積極的な情報提供の場となっている

コミュニティの参加スタイル
 ①質問投稿のみ=最も多かった群(質問投稿数2.7件、SD=6.04)
 ②質問と回答の両投稿、かつ質問投稿数>回答投稿数(質問優位)
 ③質問と回答の両投稿、かつ質問投稿数≦回答投稿数(回答優位)
   ↑全体的に投稿多
 ④回答投稿のみ
   コミュニティに対する関与度 質問投稿のみ<回答投稿のみ
  
 ③と④の平均年齢が高い

質問投稿時の意識
質問タイプ
・質問の内訳
  正解ありタイプ(3,722件)>正解なしタイプ(1,793件)
  …「決まった答えや正解があるはず」(正解ありタイプ)
    56.2%が質問投稿のみ
    男性(71.3%)>女性(63.9%)
  …「特に決まった答えや正解はない」(正解なしタイプ)

質問投稿動機
・質問9項目を因子分析、プロマックス回転…3因子を抽出
 ①社会的動機…投稿という行為そのものに社会的意味を付与
 ②外発的動機…回答が得られることにより実質的な利益を獲得
 ③内発的動機…回答が得られることによる内的な充足

・全体的に
  外発的動機、内発的動機の順
  社会的動機は重視されていない
  質問者=回答を得られることで報酬を重視している傾向

・質問投稿前の調査行動
 投稿に先立って、自ら質問に対し下調べをしたか
 →手段を複数選択で質問
  調べてから投稿>調べないで投稿
  調べた人の資源…オンライン65.8%、オフライン23.0%
              サーチエンジン70.1%、過去ログ40.1%
              人に聞く21.6%

回答投稿時の意識
・回答した質問のタイプ
  正解ありタイプ(1,048件)<正解なしタイプ(1,793件)
   正解ありタイプの質問に対する回答をした調査協力者の
   38.6%は回答のみ
   正解なしタイプへの回答は女性が多い
   男性(51.0%)<女性(65.6%)

回答投稿動機
・動機に関する13項目を因子分析
  ①援助的動機 質問者を助けることを重視
  ②互酬的動機 回答投稿に対する将来的なメリット獲得への
            期待や過去の経験への返報
  ③社会的動機 投稿という行為そのものに社会的意味を付与
  ④報酬的動機 回答投稿によって得られる(即時的な)メリット
            の重視
    ↓
  主要な動機…質問タイプに関係なく援助的動機が高い

回答投稿前の調査行動
 正解ありに回答した協力者(1,048名)
 事前に調査した<事前に調査しなかった
   質問1. 投稿前に正解を知っていたか
        調査行動の規定要因(両方投稿、正解既知、女性)
        正解が未知…事前調査:女性<男性
   質問2. 回答の正しさを確認するために何らかの方法で調べたか
        調査手段と内訳
        質問投稿者 オンライン資源72.4% 
                  1)サーチエンジン59.4%
                  2)書籍や雑誌17.3%
                  3)静的データベース12.5%
                 オフライン資源19.9%


【4.考察】
コミュニティへの参加状況とその動機
  回答投稿動機…援助動機
   =積極的かつ協力的な対人コミュニケーションが展開
  要因…知識共有型コミュニティの参加形態による影響の可能性

対人コミュニケーションへ欲求…投稿者への関心は強くない
  質問、投稿者間で連絡を取り合いたい32.2%
  そのうちで、実際に連絡を取った人1.5%
    →「質問者-回答者」という間では回答を投稿することで
     コミュニケーションが完結、発展しない

Q&Aコミュニティの特徴…一般的な信頼に成り立っている
  質問投稿者の87.7%「信頼した回答をもらえそう」
           63.4%「雰囲気のいいコミュニティである」

コミュニティへ内に共有される知識
・質問とそのための調査
  質問者経験者…質問前に調べた人は多いが、
            その際に利用される資源は少ない
  回答者経験者…調べずに質問する

・知恵袋の知識=回答者によって提供される情報
  回答者がその質問に接した時点での既有知識が中心
  情報の正確さに対する信頼は不十分
  (事典型コミュニティとは異なる)
   →しかし、質問者は唯一の正解を求めているとは限らない
    オンライン上に蓄積される情報は雑多なように見えて
    実は「案外正しい」側面がある
    (Surowiecki,2004 小高訳,2006)

コミュニケーション行動による性差
  男性…正解ありのタイプの質問が多い、物質志向
  女性…正解なしのタイプの質問が多い、人間関係志向、
      健康や個人的問題に関するサポートを受けるための
      インターネット利用が多い
  →参加動機に性差は見られない

今後、必要なこと
・コミュニティ利用者にとって何が適切な知識なのかを軸とする分析
・参加者たちがそれぞれの情報の有用性を判断できる手がかり
  知恵袋では、「ベストアンサー」という形で
  参加者にとっての有用性を評価

【5.結論】
 本研究より明らかになったこと
  ・Q&Aコミュニティでは、活発に情報交換・蓄積がされている現状
  ・参加者による相互作用が情報獲得欲求と、
   それに対する社会的サポートとして機能

以上。


って、全然レビューじゃない。
ただ、まとめただけじゃないっ!(笑)

あはははは;;;

実は、今回の論文は、あたしにとって、
ちょっと役立つものだったため、
あえて短くしなかったんだけどね~。
↑いいわけ?

ま、それはさておき。

これを読んでわかったことは、人が集まって、
質問や回答をする際には、当然のことだけど、
その解を持っている人がいなければならないということ。

論文中にもあったように、解というのは、
正解があるものとないものがあるけれど、
少なくても、解のあるものに関しては、
既有知識の有無が関係していた。

このことを考えると、
類似した目的を持った集団の場合、
双方にある程度、既有知識があった方が、
回答しやすい、すなわち、回答が得られる可能性が高い、
ということがいえると思う。

更に、参加動機も、「援助的動機」が高い、
という結果から、互恵性が大切だ、ということも、
いえるように思う。

それと、質問に対する有用な回答が得られた段階で、
コミュニケーションが完結してしまうという結果から、
やはり、解のないものを質問できるような環境と、
「質問-回答」以外のコミュニケーションが行える設定がないと、
より、活発なコミュニケーションはおきにくく、
更に、そのような状況では、個人的な関係性は構築されにくい、
ということがわかった。

これは、あたしの研究にとって、大きな収穫なのだ。

Q&A型コミュニケーションは、
BBSに似ているところもあるけれど、どちらかというと、
SNSのコミュニティに似ているように思う。
そう考えると、SNS上でのコミュニティで、
コミュニケーションが活発化しないケースがあるのも、
ある意味説明がつくように思う。

この論文は、社会心理学的な研究で、
かつ、量的な研究ではあるけれど、
このようなコミュニティがもつ特徴の一部が、
動機づけと共に明らかにされたことは、大きい。

あたしの研究では、性差を扱わないけれど、
語学学習者に女性が多いことを考えると、
女性が好むコミュニケーションスタイルを、
少し考慮する必要もあるのかなぁ。
でも、それ、説明できるんだろうか?(笑)

ま、いいや。

というわけで、本日のレビュー、これにて終了ォ。
次回は、もう少しコンパクトにまとめ、
ちゃんと(?)レビューします。
今日は、ちょっと乱暴だったので。

ではでは、また明日。


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